英ポンド/円相場は、1ポンド=151円台まで軟化する展開に。英景気見通しに対する悲観ムードが後退する中、8月23日には一時154.67円まで値位置を切り上げ、5月24日以来の高値を更新した。ただ、その後はシリア情勢の緊張状態を受けて円に対する退避需要が膨らむ中、ポンド/円相場も急反落している。概ね、過去半月分の上昇幅を帳消しにした形になっている。
8月23日に発表された4~6月期の英国内総生産(GDP)は前期比+0.7%となっており、速報値の+0.6%から上方修正された。建設や製造業、貿易の拡大などが従来の見積もりを上回っていたことが確認でき、英経済の足場が徐々にではあるが固まってきていることが窺える状況にある。まだ脆弱な経済環境には変わりがないものの、イングランド銀行(英中央銀行)はフォワードガイダンス導入で緩和効果を最大化しており、英経済に対する信認回復がそのままポンド高に直結し易い環境が続く見通し。8月30日のGfk消費者信頼感や住宅ローン承認件数などが、ポンド相場を支援する数値になるかに注目したい。
イングランド銀行のカーニー総裁は8月28日、金利先高感が強くなって景気回復を脅かす場合には、追加の景気刺激策を講じる用意があることを明らかにしている。既に低金利政策へのコミットメントを強化しているが、仮に失業率が上昇しても早過ぎる利下げを行わない方針を再確認している。ただ、これを手掛かりにポンドを売り込むような動きはみられず、引き続きポンド安シナリオは、ポンド/円のファンダメンタルズよりも、地政学的リスクや新興国市場からの資金引き揚げ傾向に強く依存する見通し。
テクニカルでは一目均衡表の雲に再突入したことで、サポートを確認。151.60~152.00円水準でボトムを確認できるかが試される。サイコロジカルは、前週の7勝5敗から8勝4敗へ。14日RSIは50.38。
今後1週間の予想レンジは、150.00~153.00円。